« ビバ! | メイン | Gへの抵抗 »

2005-05-15

マイルスさん①

in_a_silent_way マイルス聴いていつも思うのが「コノ人は一体何に影響されてこうなったんだろう」ということ。初期のあの繊細なミュート・トランペットの音も、電気化してからの、あの独特なフュージョン(あくまで便宜上私達は「エレクトリック・マイルス」とか「電化マイルス」とか言ってるけど、もっと独自な、特異な何かだ)も、マイルスが全ての始祖となって、突如世に出したものとしか思えない。もちろんマイルス以前にもトランペットにミュート付けて吹く人はいたし、「バンドにキーボードとか、エレキギターとか加えてイケイケでやると面白いんじゃないのぉ~?」と思ってた人も多分ゴロゴロいたんじゃないかと思う。

ただ、マイルスの凄いところは、ぱっと見過去の「誰か」の流れからはまったく共通点が見つからないぐらい、今までの何かとは全然違う音を、「いや、オレが作ったんだけど」というような感じでポンと出したところにある。

ミュート・トランペットで繊細なプレイをしだしたのは「ディジー(※ディジー・ガレスピー:チャーリー・パーカーとコンビを組んでビ・バップを生み出した超絶技巧&ホット派の名トランペッター)みたいにバリバリ吹きまくれなかったから」。突如ファンクビートやエレキギターなんかを導入したのは「ほら、ロックとかファンクとか流行ってんじゃん?でもアレ、オレらみたいなカッコイイジャズマンならね、軽くできるわけよ。何でかって?そりゃあオレだからよ。・・・いや、ホントはね、フツーのジャズやるよかロックとかファンクとかやった方が面白いかなーと思ってよォ」と思ったから。

いろんな文献なんかでマイルスについて書いてあるのを見ると、特に電気化した際に「ロックなんかの台頭によって、マイルスは対抗手段として、ロックやファンクの要素を導入した。」ような流れになってるが、単に手段としてエレクトリックを使ったにしては、マイルスの音はかなり神出鬼没、突然変異的なように、わたくし思うんですよ。マイルスはフツーにジャズ+ファンクな音楽やってるわけじゃなくて(70年代にいっぱい出てきた愛すべきジャズファンカー達がやってるような「イェ~イな音」とは全然違う!)、イェ~イな素材をとりあえずナベにブチ込んで、自家製の「毒々ソース」を、表面がベターっと覆い尽くされるまでふりかけてるような電化マイルスサウンド。そうやって出来上がった「マイルス料理」にはもはや素材の影もカタチもない。本当に「どこからの影響なんですか?」と何度も尋ねたくなってくるような音なんです。「ホントか!?」と思った人も、「ウソだぁ~」と思った人も、まずは彼の電気化一作目であるところの「イン・ア・サイレント・ウェイ」を聴いてみてくださいな。(リーダー)

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.synapse-blog.jp/t/trackback/190300/5925530

マイルスさん①を参照しているブログ:

コメント

いまだに、このアルバムに対しての
イイ言葉が思い浮かびません…

すごくいいことだけはたしかなんだけど。

掘れば掘るほど、「マイルスダーク」が無限に広がる・・・。マイルスの作品は本当にそうですよね。ビッチェズ・ブリュー、ネフェルティティ・・・。

コメントを投稿

最近の写真

  • Oh_2
  • Oh
  • Es
  • 1976
  • Ikkoi
  • Sawayaka
  • Nvcf_2
  • Nvcf
  • N2